クッションが船になり、段ボール箱がお店になる。ごっこ遊びでは、言葉を使う目的がある場面を親子で共有できます。道を尋ねたり、お客さんの質問に答えたり、計画を説明したりするのです。言葉を使う機会にはなりますが、テストではありませんし、特定の効果を約束するものでもありません。
準備は少なめに、遊びの余地はたっぷりと
- 「お店屋さんにする? お天気スタジオにする?」と、二つの案を出してみましょう。お子さんが別の案を出したら、それでもかまいません。
- 紙、クレヨン、箱、ぬいぐるみ、洗って繰り返し使える容器など、少しの道具を集めます。凝った衣装はなくても大丈夫です。
- 清潔で丈夫な素材を選びましょう。小道具を作るときにハサミを使う場合は、そばで見守ってください。本物の工具や調理器具ではなく、段ボールなどで代用しましょう。
- お子さんに役を選んでもらいます。お客さんや助手の役をすると、子どもが場面を進めやすくなります。
会話が生まれる、ごっこ遊びの世界6つ
| ごっこ遊び | 簡単な準備 | 言葉を使う機会 | 声かけの例 |
|---|---|---|---|
| 紙で作る食べ物カフェ | 食べ物の絵を描いてメニューを作ります。交代で注文したり、料理を出したりします。 | 好みを説明する、聞き返す、注文の内容を伝える。 | 「カリカリしたものが食べたいな。どんなのがある?」 |
| 修理工房 | おもちゃの乗り物や、段ボールで作った機械を用意します。道具はおもちゃにしましょう。 | 困りごとを説明する、手順を順番に話す。 | 「まず車輪を見てみよう。次はどうしようか?」 |
| ミニミュージアム | 絵や工作、丈夫な身近な品を並べて展示します。 | 特徴を説明する、比べる、見学者の質問に答える。 | 「これが気になったな。どんなものか教えて」 |
| お天気スタジオ | 天気のマークを描き、段ボールの枠を画面に見立てます。 | 天気の様子を説明する、予報を順序立てて話す、理由を伝える。 | 「物語の中では雨が降りそうだね。見ている人には何が必要かな?」 |
| ぬいぐるみホテル | ぬいぐるみが休める場所を床に作り、一体ずつ迎えます。 | 好みを尋ねる、過ごし方を説明する、場所の使い方を相談する。 | 「このお客さんは静かな場所がいいんだって。どうしたらよさそう?」 |
| 探検ミッション | 想像上の場所の地図を作り、旅の計画を立てます。 | 道順を説明する、可能性を考える、物語の出来事をつなげる。 | 「橋が通れなくなったね。チームはどうやって向こうに行けるかな?」 |
質問ばかりするのではなく、一緒に遊ぶ人になりましょう。「橋が細そうだね」と時々コメントして、返事を求めずに少し待ちます。お子さんが「車、こわれた」と言ったら、「そうだね、車の車輪が動かなくなっちゃったね」と返して、遊びを続けてもよいでしょう。こちらの言い方をまねして言わせる必要はありません。
子どもを変えようとせず、誘い方を調整する
- 4〜6歳:一人ひとつの役がはっきりしている、親しみやすい場面から始めてみましょう。「次はあなたね」「手伝って」といった言葉を、遊びの中で自然に繰り返します。短いやり取りでも十分です。
- 7〜9歳:カフェの材料が一つなくなる、ミュージアムの展示に新しい説明をつけるなど、希望があれば小さな変化を加えてみましょう。解決方法はお子さんに考えてもらいます。
- 10〜12歳:制作会議やデザインスタジオ、架空の探検などを通して、計画や相談を楽しめるようにします。「ごっこ遊び」より「世界づくり」という呼び方がしっくりくる子もいます。年齢の目安は発達の基準ではありません。
遊びのすべてを言葉で進めなくてもかまいません。身ぶり、絵、文字や、いつも使っているコミュニケーションの道具も歓迎しましょう。家族が話しやすい言語で遊び、言語を切り替えても大丈夫です。お子さん自身が役を演じず、大人の役を決めるだけでも参加できます。短い時間で遊ぶなら、次の流れを試してみましょう。
- 一緒に決める。どんな場所で、誰がいるのかを聞きます。短い返事や指差しで選ぶのも立派な答えです。
- 子どものアイデアに加わる。まずは動きをまねたり、頼まれた役になったりしてから、新しい要素を足しましょう。
- 小さな変化を一つ加える。たとえば、お客さんが道を尋ねてきます。楽しさを損ねるようなら、無理に続けず元に戻しましょう。
- 一緒に終える。遊びを少し振り返り、「お店では何があったかな?」と聞いても、片づけを手伝って終えてもかまいません。心地よく遊べているうちに切り上げましょう。
- 何度も戻る場面に注目しましょう。お客さんに品物を出す、機械の仕組みを説明する、旅を考えるなど、次に誘う遊びのヒントになります。
- 参加しやすくなる工夫を見つけましょう。道具を減らす、慣れた相手と遊ぶ、先に絵を描く、大人が役を見せるなどがあります。
- 「道順を説明するのを楽しんでいたね」のように、見たことをそのまま記録しましょう。能力を決めつけず、一度の遊びはそのときの様子として受け止めます。
お子さんのコミュニケーションや遊びへの参加について心配が続く場合は、学校の先生や、資格を持つ言語聴覚の専門家に相談してください。ごっこ遊びは一緒に楽しみ、練習するためのもので、評価や治療ではありません。