お絵描きでは、いろいろな可能性を試せます。家が歩き出したり、雨が空に向かって降ったり、ひとつのなぐり書きがいくつものものに見えてきたり。こうした遊びを楽しむのに、描き方を教える必要はありません。始まりのきっかけをひとつ渡し、あとは自由に決めてもらいましょう。下の年齢別の例は目安であり、発達の段階を示すものではありません。どの欄のアイデアを使ってもかまいません。
- 白い紙と、年齢に合った安全な画材をいくつか用意します。小さな子どもが使うときは、そばで見守りましょう。
- 長いリストを読み上げるより、きっかけをひとつかふたつ提案しましょう。
- 「このアイデアを使っても、変えても、別のものを描いてもいいよ」と伝えましょう。
- いつでもやめられるようにします。少し描くだけでも十分です。絵を完成させることが目的ではありません。
自由に広げられる、6つのお絵描きのきっかけ
| きっかけ | 4〜6歳 | 7〜9歳 | 10〜12歳 |
|---|---|---|---|
| ふしぎななぐり書き | ぐるぐる線やギザギザ線を、好きなものに変えてみる。 | 同じ線から、違う絵をふたつ描いてみる。 | ひとつの形を隠すように、まったく違う場面を3つ描いてみる。 |
| ちょっと変わった家 | 想像上の小さな生き物が住む家を描いてみる。 | 思いがけない働きをする部屋がある家を考えてみる。 | 移動できる家をデザインして、どうやって進むのか考えてみる。 |
| ありえない乗り物 | ゼリーの中を進む乗り物を描いてみる。 | とびきり変わった旅に使う乗り物を考えてみる。 | 道がいつも動いている世界の乗り物をデザインしてみる。 |
| びっくりする天気 | おかしなものが降ってくる日を描いてみる。 | そんな天気の日に、人々がどう遊ぶかを描いてみる。 | 変わった天気に合わせて作られた町を考えてみる。 |
| 小さなものの中の世界 | ティーカップの中に、想像の世界を描いてみる。 | 靴の中にある世界の地図を描いてみる。 | 同じ小さな世界を、ふたつの違う視点から描いてみる。 |
| 思いがけない変化をひとつ | いすに、踊れる脚をつけてみる。 | 身近なものをひとつ、意外なことができるように変えてみる。 | よく知っている場所で、現実のルールをひとつ変えて描いてみる。 |
意外な発想はそのままに、指示をゆるめましょう。「靴の中の世界」が大きな靴の形をした惑星になったら、そのアイデアについていきます。きっかけは、描き始める助けになれば十分です。
描く主役は子どもに
- まず聞いてみましょう。「どんな絵か教えてくれる?」。話さずに描くのも、もちろん大丈夫です。
- 子どもが選んだ描き方を言葉にしてみましょう。「ここは小さな点で、こっちは大きな輪っかなんだね」。何を描いたかを大人が決めつけないようにします。
- 子どもの話に沿って問いかけます。たとえば、ドアの話が出たら「どこにつながっているのかな?」と聞いてみましょう。
- 手伝う前に「アイデアがほしい? 私の紙で描いて見せようか? それとも、もう少し考えてみる?」と尋ねましょう。
- 一本ずつ線を描く順番遊びをします。ひとり一回ずつ、同じ紙に線や形を足していきます。どちらかが思いがけない方向に絵を変えてもいい、と最初に決めておきましょう。ふたりともやめたくなったら、いつでも終わりにします。
- 同じきっかけから、別々の絵を描いてみます。描き終わったら、勝ち負けや上手さを比べず、想像の違いに目を向けましょう。
- 物語を加えてみます。子どもが場所を描いたら、次に起こりそうなことをふたつ提案します。どちらかを選んでも、別の案を考えても、両方とも違うと言ってもかまいません。その後を描くか、話すかも子どもに任せます。
遊びに合った画材を選びましょう。大きな紙や太いクレヨン、少ない画材のほうが描きやすい子もいます。細部を描くのが好きな子なら、時間を多めにとったり、細い鉛筆を用意したりしてもよいでしょう。話すほうが好きな子は、許可を得たうえで、大人が描きながら場面を聞く方法もあります。参加の仕方の違いであり、順番に進む段階ではありません。
「描けない」と言われたら、「思ったとおりにならないんだね」と気持ちを受け止めましょう。形をひとつ描く、絵の一部分から始めるなど、小さなきっかけを提案できます。いっしょにわざとおかしな絵を描いてみるのもひとつの方法です。乗り気でない様子なら、また別の日にしましょう。
子どもが何度も選ぶものに目を向けてみましょう。仕組みを考える、場所を飾る、登場人物を作る、地図を描く、絵で冗談を表すなど、いろいろな楽しみ方があります。「3枚の絵に秘密の部屋を描き足していたね」のように、見たことを具体的に伝えましょう。「生まれつき建築家だね」と決めつける必要はありません。同じものを繰り返し描くことは、次の遊びを提案するヒントにはなりますが、絵やテーマだけで子どもの力、性格、将来がわかるわけではありません。
最後は、絵をどうするか子どもに選んでもらいましょう。とっておく、飾る、あとで描き足す、資源ごみに出すなど、選択肢があります。作品を誰かに見せる前には、本人に確認しましょう。楽しんだきっかけは、もっと難しい絵を求めずに、また提案してもかまいません。Innatoraに簡単なメモを残しておけば、子どもが選んだことや、また試してみたいことを思い出す助けになります。