絵を描くのが好きな子は、ノートを絵でいっぱいにしたり、登場人物を考えたり、毎日同じものを描いたりすることがあります。その興味を応援するのに、特別な美術の知識はいりません。描く場所や時間をつくり、お子さんが何を楽しんでいるのか、関心を持って見守ることが大切です。絵で物語を表すのが好きな子もいれば、模様を描いたり、よく観察して描いたり、紙の上で色を動かしたりするのが好きな子もいます。
描きたいときにすぐ始められるようにする
- まずはシンプルに、無地の紙、鉛筆、洗い落としやすい色材を数色用意しましょう。使い終わった紙や印刷物の裏も使えます。高価な画材セットは必要ありません。
- 簡単な「お絵描きかご」を手の届く場所に置いてみましょう。トレーや汚れても拭けるマットがあると、専用の部屋がなくても準備や片づけがしやすくなります。
- 年齢に合った画材を選び、使用上の注意に従いましょう。鉛筆削りやはさみを使うときは、特に小さなお子さんから目を離さないでください。
- 机に向かう、しっかり固定した紙に立って描く、大きな紙を使うなど、いくつかの方法を試せます。お子さんの好みや描きやすさに合わせましょう。
- 短い時間でも描けるようにしておきましょう。静かに過ごす時間に誘ってもよいですが、毎日描くことを求めたり、完成させるよう促したりする必要はありません。
お子さんと並んで、それぞれ別の紙に描いてみるのもよいでしょう。「一緒に描こうか?それとも一人で描きたい?」とたずねてみてください。参加するときは、教える時間にするのではなく、お子さんの誘いに合わせましょう。
決まった課題ではなく、選べるアイデアを
| 年齢の目安 | 試せること | 選択の余地を残すには |
|---|---|---|
| 4〜6歳 | 大きな紙と太めのクレヨン、音楽を聴きながら描くこと、空想の地図に印をつけること。 | 描いたものに意味や説明がなくても大丈夫です。線や形そのものを楽しめます。 |
| 7〜9歳 | 紙を折って作る漫画、空想の生き物図鑑、身近なお気に入りを描くこと。 | 物語を考えることや観察することを選択肢にしましょう。誘いを断る、内容を変える、途中でやめるのも自由です。 |
| 10〜12歳 | 自分用のスケッチブック、キャラクターのデザイン、部屋の見取り図、陰影や視点の工夫。 | 描き方の実演がほしいか、参考になる絵を見たいか、一人で集中したいかをたずねましょう。細かく描く必要はありません。 |
年齢の区分は、アイデアを考えるための目安であって、発達の基準ではありません。どの年齢でも、大胆な線、細かな場面、繰り返しの模様を好むことがあります。新しいアイデアは一度にたくさんではなく、おなじみの楽しみ方に添えて一つずつ試してみましょう。描き方をたずねられたら、簡単な絵の本を一緒に見たり、実物をよく観察したりできます。お子さんの描き方を大人のやり方に置き換える必要はありません。
絵だけでなく、描いている子に目を向ける
- 具体的なところに気づいたら伝えてみましょう。「いろいろな線を使ったんだね」のような言葉なら、絵の良し悪しを決めつけずに関心を示せます。
- 質問攻めではなく、話すかどうかをお子さんに委ねましょう。「どんな絵か教えてくれる?」と聞き、「話したくない」という返事も受け入れます。絵から気持ちや能力を推測しないようにしましょう。
- 手伝う前に「アイデアを出そうか?」と聞きましょう。希望があれば、別の紙に描いて見せると、お子さんの絵を本人のものとして大切にできます。
- 思いどおりに描けずがっかりしていたら、「思っていた感じと違ったんだね」と受け止めましょう。別の方法を試す、あとで続ける、やめるなどから選べるようにします。
- 飾る、取っておく、人に見せるかどうかは、お子さんに決めてもらいましょう。試し描きや個人的な物語として描いた絵もあります。
「試してみるための紙」を用意して、取っておく必要はないと伝えてみましょう。一緒に三種類の線を描いたり、ありえない動物を考えたりしても楽しめます。お子さんが一緒にやりたいときに参加し、「創造的に描くこと」まで正解を求める課題にしないようにしましょう。
お子さんがほかの人の絵と比べていたら、何を試してみたいかに話題を戻してみましょう。「どんなところを描けるようになりたい?」と聞くほうが、どちらが上手か決めるより役に立ちます。本人が教わりたい、誰かと一緒に描きたいと思っているなら、教室を試すのも選択肢です。年齢に合った教え方をしているか、敬意のあるフィードバックがあるか、一人ひとりの選択が尊重されるかを確認しましょう。体験の機会があれば、一緒に合うかどうかを確かめられます。
ときどき、お子さんが何度も取り組むことに目を向けてみましょう。物語を考えること、色を混ぜること、小さな部分を描くこと、誰かと一緒に描くことなどです。そうした気づきは次の誘い方の参考になりますが、お子さんがどんな子かを決めるものではありません。Innatoraを、こうした小さな気づきを記録する場として使うこともできます。ほかの遊びも楽しめるようにしながら、描くことが大切になったり、そうでなくなったりする変化も見守りましょう。