アリの行列を見つけて、散歩の足が止まることがあります。丸まった葉っぱが、その日のいちばん大切な発見になることも。自然や虫が好きな子どもの関心を応援するには、まず立ち止まれる余白をつくるだけでも十分です。子どもが楽しむのは、生きものの動きや小さな特徴、名前、物語、生きものを大切にすることなど、さまざまです。その関心を、勉強やコレクション、将来の仕事の手がかりにする必要はありません。
子どもが楽しんでいることに寄り添う
- 見ているのが好きなら、アリの行列をふさがない場所で立ち止まってみましょう。観察を続けるか、見たことを話すか、先へ進むかは子どもに任せます。
- 模様や違いを見つけるのが好きなら、葉っぱの形や虫の動き、目についた色を比べてみましょう。すべてを数える必要はありません。
- 何かを作るのが好きなら、生きものの絵を描く紙や、想像上のすみかを作れる工作の材料を用意してみましょう。本物そっくりでなくても大丈夫です。
- 物語が好きなら、カブトムシがどんな旅をしているか、一緒に想像してみましょう。ごっこの説明は想像として楽しみ、実際に分かっていることとは穏やかに区別します。
課題ではなく、小さなきっかけを用意する
| 年齢の目安 | 試してみること | 子どものペースを大切にするには |
|---|---|---|
| 4〜6歳 | 身近な屋外の一角を選び、一緒に動くものを探す。 | 指さしたり、見たことを話したり、好きな名前をつけたりするのを見守ります。近くで付き添い、触らずに見る姿を大人が示しましょう。 |
| 7〜9歳 | 同じ植物を訪れるたびに描き、違って見えるところを探す。 | さっと描くだけでも、口で説明するだけでも、記録をしなくてもかまいません。 |
| 10〜12歳 | 「虫は花によって訪れる種類が違うのかな」など、ひとつ疑問を選ぶ。 | 生きもののじゃまをせず観察できるよう手伝います。短い観察で分かるのは一場面であり、確かな証明ではないことも心に留めましょう。 |
| どの年齢でも | 紙とクレヨンで、想像上の虫を作る。 | 子どもが話したそうなら、どう動くのか、どこに隠れるのかを聞いてみましょう。 |
年齢はあくまで目安で、期待を示すものではありません。年上の子が簡単な探索を楽しむこともあれば、幼い子が詳しい質問をすることもあります。その日の関心や心地よさに合わせて、きっかけを選びましょう。質問するより、まずは「ずっと止まったり進んだりしているね」と気づいたことを伝えてみてください。子どもが話したそうなら、「どんなことに気づいた?」「次に来たら何を探してみようか?」と聞いてみましょう。名前や知識を当てさせるクイズにする必要はありません。
5分だけ、自然を眺める時間をつくってみましょう。子どもに安全な場所をひとつ選んでもらい、大人は近くで見守ります。何も持たずに出かけても、紙と鉛筆だけ持っていってもよいでしょう。活動を続けて価値あるものにしようとせず、子どもが終わりにしたいときに切り上げます。なじみの場所をまた訪れると、気づけることがたくさんあります。特別な発見がない日も、一緒に探索する時間になっています。
子どもと野生の生きものを守る
- 探索を始める前に、守ることを一緒に確認しましょう。幼い子どもには特に目を離さず、年齢だけでなく場所や活動に合わせて付き添い方を調整します。
- 見慣れない生きものは触らずに観察します。巣や刺す虫には近づかず、穴や見えない場所に手を入れないようにしましょう。
- 野生の生きものやすみかは、そのまま残します。巣を開けたり、樹皮をはがしたり、重い丸太を動かしたり、野生の生きものを密閉容器に入れたりしないでください。
- 屋外の植物、木の実、きのこを口にしないようにします。探索中は手を口元に近づけず、終わったあとや食事の前には手を洗いましょう。
- その日の天候や場所に合った服装と靴を選びます。現地のルールを守り、水辺や道路から離れ、ほかの人のスペースも尊重しましょう。
休んだり、関心が変わったりする余地を残す
蝶は大好きでも、ミミズは苦手という子もいます。何日もカブトムシの話をしたあと、今度は積み木を選ぶこともあります。どちらも直す必要はありません。自然に目を向けるよう何度も誘導するのではなく、選べるようにしておきましょう。大人が虫を苦手に感じるなら、「一緒に見るのはいいよ。でも、虫は外に置いておこうね」と落ち着いて伝えてかまいません。虫を触るのが好きなふりをしなくても、好奇心を一緒に楽しめます。質問に答えられないときは、「分からないな。一緒に調べてみようか」と言うことで、正直に学ぶ姿を見せられます。図鑑を借りるのもよい方法ですが、すべての疑問にすぐ答える必要はありません。
節目ではなく、心に留まった場面に目を向けましょう。何に興味を示したか、どう過ごすことを選んだか、また行きたがったかをメモしてもよいでしょう。「えさを運ぶアリを見ていた」といった具体的な記録は、能力について大きく決めつける言葉よりも、その子の姿を伝えてくれます。毎回の外出を記録しなくて大丈夫です。Innatoraを使う場合もしない場合も、目指すのは関心を測ることではなく、それをのびのび楽しめる余白をつくることです。